水筒を洗うのが面倒だ、という話をします。
といっても、いま使っているものに不満があるわけではありません。むしろ気に入っていて、これからも使います。ただ最近、使う場面がひとつ増えて、そっちには合わなくなった。それで新しいのを探し始めました。
大きいものにすると、そのぶん洗うパーツも増えるんだろうな、と思っていました。これが間違いでした。
気になって、候補になりそうな水筒の「洗う部品が何個あるか」を7本ぶん数えました。結果は2点から6点まで、3倍の開きがありました。そして容量を上げながら、部品を減らせる組み合わせが存在しました。
200mlの水筒で、ずっと足りていた
いま使っているのは無印良品のステンレス保温保冷ボトル 200mlです。1,590円(2026年8月時点)。
中身はアイスコーヒーか、水出しのフルーツ味のやつ。タバコを吸いながら飲むための水筒でした。
これがちょうどよかった。外に出て、一本吸って、少し飲んで戻る。時間にして5分か10分です。その5分に500mlは要りません。200mlで足ります。むしろ小さいから手にすっぽり収まるし、荷物にもならない。
そして洗うのが楽でした。分解するとこうなります。
本体と、蓋と、パッキン1個。3点です。ストローもなければ中蓋もない。パッキンをつまんで外して、3つを洗って、乾かして、戻す。それだけ。
たとえばストロー付きの水筒だと、細いブラシを通す作業が毎回発生します。それが無い。この差は毎日効いてきます。
だから最初に書いておきます。この200mlは、いい買い物でした。これから書くのは「これがダメだった」という話ではありません。
PCの前に座る時間には、足りなかった
変わったのは、水筒ではなくわたしの1日のほうでした。
部屋でPCに向かう時間が増えました。ブログを書いたり、調べものをしたり。5分ではなく、2時間とか3時間です。
この時間には200mlは足りません。1時間経たずに空になって、そのたびに立って注ぎに行くことになる。集中が切れます。
つまり買い替えではなく、2本目です。タバコのお供には引き続き200ml、机の上にはもっと大きいの。用途が2つに分かれただけの話でした。
そこで手が止まりました。大きくしたら、洗うのが面倒になるんじゃないか。
大きくすると洗う部品も増える、と思っていた
まず同じ無印で大きいサイズを見ました。同じシリーズなら、大きいだけで中身は同じだろうと思ったからです。
ところが商品ページを見ても、部品が何個あるかは書いてありません。そこで補修部品のラインナップを見ました。壊れたときに買い替えられる部品が並んでいるので、そこから逆算すれば構成が分かります。
| 無印 ステンレス保温保冷ボトル | 補修部品として売られているもの | 洗う部品 |
|---|---|---|
| 200ml(いま使用中) | 蓋/蓋用パッキン | 3点 |
| 350・500ml | 蓋/飲み口/飲み口用パッキン/蓋用パッキン | 5点 |
同じ名前の同じシリーズなのに、350ml以上には「飲み口」と「飲み口用パッキン」が増えます。3点が5点になる。
200ml用の「飲み口」という部品は、そもそも売られていません。つまり200mlには飲み口パーツが存在しない。構造が違うわけです。
やっぱりそうか、と思いました。大きくすると洗うのが増える。ここで一度あきらめかけました。
メーカーを変えたら、逆だった
念のため他社も数えてみることにしました。同じ数え方で、補修部品と材質の表記から構成を割り出します。
そこで見つけたのがサーモスの真空断熱ケータイマグ JOQ-481でした。
| 容量 | 洗う部品 | |
|---|---|---|
| 無印 200ml(いま) | 200ml | 3点 |
| 無印 350・500ml | 大きい | 5点 |
| サーモス JOQ-481 | 480ml | 2点 |
容量は2.4倍になって、洗う部品は1つ減ります。
理由は「まる洗ユニット」という構造でした。せんとパッキンが一体になっていて、分解する必要がない。サーモス公式の説明にこうあります。
本体もパーツもすべて食洗機で洗える!パッキン一体型の「まる洗ユニット」だからお手入れ簡単!サーモス公式 真空断熱ケータイマグ JOQ-351・481・601
「大きくすると洗うのが増える」は、同じメーカーの中でしか成り立たない話でした。メーカーをまたぐと逆転する。たとえば無印の350mlとサーモスの480mlを比べると、容量が大きいほうが部品は3つ少ない。
洗う部品の数は、容量ではなく「型」で決まる
ここまでで分かったのは、部品の数を決めているのは容量ではないということです。蓋の構造でほぼ決まります。
候補にしていた7本を、蓋の型で分類して並べてみました。
| 型 | 製品 | 洗う部品 | 炭酸 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| せん一体型 | サーモス JOQ-481(480ml) | 2点 | ✕ | 2,482円 |
| せん一体型 | 象印 キャリータンブラー(300ml) | 2点 | ✕ | 3,082円 |
| 蓋+パッキン型 | 無印 200ml(いま使用中) | 3点 | ✕ | 1,590円 |
| 中蓋型 | STANLEY カフェトゥーゴー(230ml) | 4点 | ✕ | 3,190円 |
| 蓋+パッキン型 | 無印 350・500ml | 5点 | ✕ | — |
| 炭酸対応型 | サーモス FJK-500(500ml) | 4点 | ◯ | 1,727円 |
| 炭酸対応型 | 無印 炭酸にも使える保冷ボトル(600mL) | 6点 | ◯ | 2,990円 |
2点から6点まで、3倍の開きがあります。そして並べると、値段と部品数が比例していないことも見えます。
いちばん高いSTANLEYの3,190円が4点で、いちばん安いサーモスFJKの1,727円も4点。高いから洗いやすい、ではありません。一方で最少の2点はどちらも2,482円以上なので、「洗いやすさ」自体には値段がついているとも言えます。
最少の2点に、象印もサーモスも同じ方法でたどり着いている
面白かったのは、2点にしている2社が、まったく同じ発想で解いていたことです。
象印は「シームレスせん」。サーモスは「まる洗ユニット」。名前は違いますが、どちらも「せんとパッキンをひとつにして、分解させない」構造です。
パッキンを外して洗って戻す、という作業そのものを無くしにいっている。象印はこれを業界初としていて、サーモスは2022年に投入しています。1社の特殊な工夫ではなく、業界が同じ答えに向かっているということです。
ただ、洗いやすさへの答えはこれだけではありませんでした。無印は逆の解き方をしています。
無印の公式にはこう書いてあります。「洗いやすいよう凹凸の少ない蓋パーツ」「シリコーンパッキンは取り外しがしやすく、裏表の付け間違いが発生しにくいデザイン」。
外さないようにするのが象印とサーモス、外しやすくするのが無印。同じ「洗いやすさ」に、まったく違う2つの答えがあります。
わたしが200mlを気に入っていた理由も、たぶんここでした。パッキンが1個しかなくて、しかも迷わず戻せる。数が少ないだけでなく、迷う回数が少ない。
ただし、その2点には炭酸が入らない
ここまでで、答えは出たように見えました。480mlで2点のサーモスにすればいい。
ところが、わたしにはもうひとつ条件がありました。サントリーのレモンの炭酸水が好きなんです。これも机に置きたい。
調べたら、ここで完全に行き止まりました。
好みの問題ではなく、安全上の禁止事項です。
そして象印には炭酸に対応したモデルがありません。「お手入れ点数2点」という最強の洗いやすさは、炭酸を捨てることで成り立っていました。
では炭酸対応にすればいいのかというと、そこで部品が戻ってきます。
炭酸を取ると、部品は倍になる
なぜ増えるのかには、はっきりした理由がありました。圧力を逃がす仕組みが要るからです。
サーモスの炭酸ボトルは、スープジャーで使っていた「クリックオープン構造」を応用して、せん本体に圧力開放穴を設けています。開けるときと、内圧が高まったときに、そこからガスを逃がす。
その結果、せんが複雑になります。交換部品の材質表記を見ると「せんユニット:ポリプロピレン/蓋パッキン・せんパッキン:シリコーンゴム」。パッキンが2個です。
無印の炭酸ボトルはさらに多くて、公式が自分で「本体/キャップ/飲み口/カバーにパーツが分かれているのでお手入れがしやすいです」と書いています。そこにパッキン大小が加わって6点。
この「お手入れがしやすい」という表記に対して、実際のレビューがどう言っているかが印象的でした。
保温機能は抜群だけど……キャップのパッキンが指で外せない。外すためのポッチは付いてるんですけどね。毎回指先トングを使って外してます。この作業が地味に手間です。無印良品 公式サイトのレビュー(2026年8月10日)
洗った際にパッキンを無くしてしまったので購入しました。出来ればパッキンのみ購入したかったです。同・補修部品のレビュー(参考になった9人)
トングを使って外す。洗っているうちに無くす。部品が多いというのは、こういう形で毎日に効いてきます。
とはいえ、炭酸対応がすべて高いわけでもありません。サーモスのFJK-500は1,727円で、今回数えた7本のうち2番目に安い。4点で済むので、無印の6点よりは楽です。炭酸を取るなら、いまのところこれが現実的な線でした。
わたしはまだ決めていない
数え終わって、結局まだ買っていません。
望みが3つあって、3つ同時に叶う水筒が存在しないからです。
② 洗う部品は増やしたくない
③ 炭酸も入れたい(レモンの炭酸水)
→ ①②はサーモスJOQで叶う(480ml・2点)。でも③が消える。
→ ①③はサーモスFJKで叶う(500ml・炭酸OK)。でも②が4点に増える。
どっちも正解に見えて、どっちも何かを捨てています。だから止まっています。
ただ、数えたことでひとつはっきりしたことがあります。買い替える必要はなかった、ということです。
最初に候補にしていたSTANLEYは4点で、いま使っている無印200mlより1つ多かった。値段は倍でした。買っていたら、洗う手間を増やしながら2倍払っていたことになります。
そしてタバコを吸いながら飲む5分には、200mlがいまも一番合っています。これは手放しません。足りないのはPCの前の2〜3時間だけで、そこに1本足すかどうか、という話でした。
買う前に、いま持っているものを数えてみてほしい
この記事で唯一おすすめしたいのは、商品ではなく数えるという作業です。
いま使っている水筒を分解して、洗う部品が何個あるか数える。それだけで、次に買うものの基準ができます。3点なら、それより多いものを買う理由が要る。そう考えられるようになります。
買う前に他社を数えたいときは、商品ページではなく補修部品のページを見てください。「飲み口」「パッキン大小セット」みたいな部品が並んでいたら、それが毎日洗う数です。カタログには書いていませんが、そこには書いてあります。
今夜、洗うときに一度だけ数えてみてほしい。その数が、次に買うときの基準になります。わたしは3点でした。だから4点のものを買おうとしていた自分に、途中で気づけました。
この記事で出てきたもの
ちなみに無印良品は、楽天にもAmazonにも公式ショップを出しています。しかも200mlは楽天1,190円・Amazon1,192円で、無印の公式サイト(1,590円)より400円ほど安い。炭酸ボトルも楽天が2,290円で、公式サイトの2,990円より700円安いです。同じ商品でも、買う場所で700円変わります。
参考・出典
- 無印良品 ステンレス保温保冷ボトル(商品説明・補修部品ラインナップ)
- 無印良品 ステンレス 炭酸にも使える 保冷ボトル 600mL(商品説明・レビュー)
- 象印 シームレスせん|ステンレスマグ SM-RS・SX-JS
- サーモス 真空断熱ケータイマグ JOQ-351・481・601(まる洗ユニット)
- サーモス 炭酸飲料対応タイプ 取扱説明書
- 内閣府 消費動向調査(2025年3月実施)(食器洗い機の普及率37.3%)
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