119日で3回も方針を変えていた。仕組みだけ決めて、あとは放った話

「オルカンとS&P500、どっちがいいんだろう」

そう検索して、比較記事を3本くらい読んで、なんとなく納得して、そしてまた次の日にも同じことを検索する。わたしは119日のあいだ、毎日それをやっていました。

毎日積立を続けながら、毎日「もっといい組み合わせがあるんじゃないか」と考えていた。そして実際に、2週間で3回も方針を変えました。日経平均を足そうとして、現金の比率を見直して、また組み直して。

理由は相場ではありません。家計が苦しくなったわけでもない。

いまは3本を1本にして、それから一度も設定を触っていません。この記事は、そこに至るまでに何を見落としていたかという話です。よく言われる「入金力を上げろ」、つまり毎月いくら投資に回せるかを増やせという話の、その前段にあたります。

目次

なぜ設定をいじり続けたのか。不安だったからだ

結論から言うと、わたしが銘柄をいじり続けていたのは、単純に不安だったからです。

わたしには娘がいます。これからお金がかかるのはむしろこれからで、教育費がどのくらい必要なのかも、自分の老後がどうなるのかも、正直なところ何ひとつ分かっていません。分からないまま毎月お金を入れている。その状態が、ずっと落ち着かなかった。

だから、少しでも増えそうに見えるほうへ設定を動かしたくなる。たとえば「直近1年のリターンはこっちのほうが高い」という記事を読めば、翌日には配分を変えたくなりました。

2週間でやったこと

実際にやったことを並べると、われながらひどいものです。

日経平均を
足そうとする
現金の比率を
見直す
また比率を
組み直す

これを2週間でやりました。そのあいだ、入金額は1円も増えていません。

ただ、正直に書いておくと、調べている時間そのものは楽しかったです。信託報酬を比べたり、構成国の比率を見たり、シミュレーターに数字を入れたり。やっている本人としては「資産形成をがんばっている」感覚がありました。

あなたはどうですか。積立を始めてから、設定画面を何回開きましたか。

金額が決まっていないのに、手段だけ最適化していた

ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。

119日続けて、方針を3回変えて、それでようやく気づいたことがあります。わたしは、必要な金額を決めていませんでした。

いくら貯まればいいのかを決めないまま、「どれが有利か」だけを比べ続けていた。目的地を決めずに、乗り物だけを比べていたようなものです。

?
ゴールが決まっていない
だから選び直しが終わらない
ゴールを先に決める
あとは入れ続けるだけになる

だから何を選んでも落ち着かなかったんだと思います。ゴールがないので、「これで足りるのか」という問いに永久に答えが出ない。答えが出ないから、また別の選択肢を探しに行く。たとえば「新NISAで人気の投資信託ランキング」のような記事を、何度も読み返していました。点数の分からないテストを、何度も解き直しているような状態です。

1,000万円と置いてみた

それで、まず金額を決めることにしました。わたしが置いたのは1,000万円です。

この数字が正しいかどうかは分かりません。必要額は家族の人数でも住んでいる場所でも変わるので、誰かにとっての正解を、わたしが計算できるわけではない。これはあくまでわたしが自分で置いた目標です。

ただ、置いた瞬間に起きた変化ははっきりしていました。銘柄を見比べる理由が、なくなったんです。

金額が決まれば、残りは「そこまでどう入れていくか」の話だけになります。それまで増えていたのは調べた時間だけでしたが、ここからは入金額のほうが増えていく。これが、わたしにとっての入金力の入り口でした。逆に言えば、金額が決まっていないうちは、何を選んでも落ち着かないままだったということです。

💡 ポイント

金額が決まっていないのに、手段だけ最適化していた。順序が逆でした。

金額を決めて、3本を1本にした

金額を決めたあと、持っていた投資信託を3本から1本にまとめました。残したのは全世界株のインデックスファンド、いわゆるオルカンです。

ただ、これを「1本が正解だから」とは書きません。実際、投資信託を何本持つべきかを調べると、証券会社自身が「複数持ったほうがいい」と書いていたりします。どちらが正しいのかを、わたしが決められるとは思っていません。

わたしが1本にしたのは、正しいからではなく、これ以上考えなくてよくなるからです。あなたは、いま持っている投資信託が何本あるか、すぐ答えられますか。

先に白状しておくと、わたしはこのブログで、その真逆のことを書いています。「1本にまとめず、一部を別のファンドに振り分ける」という記事です。しかも、その記事を公開した翌日に、正反対の判断をしました。

その記事は消していませんし、直してもいません。判断が変わった記録として残しておくほうが誠実だと思ったからです。当時どう考えていたかは、こちらに書いてあります。

オルカン1本だと口座を開かなくなる。だから25%だけ崩した話

まとめるのはタダではなかった

ただ、これは気持ちよく終わった話ではありません。まとめるには、いったん売る必要がありました。

NISA(少額投資非課税制度)には落とし穴があって、売却しても、その分の非課税枠はその年のうちには戻ってきません。金融庁のNISA特設ウェブサイトによると、枠が復活するのは売却した翌年です。しかも戻るのは売った金額ではなく、買ったときの金額(簿価)の分だけ。たとえば10万円で買ったものを売れば、その年のうちに同じ10万円分を買い直すことはできません。

⚠️ 注意

NISA口座で売却しても、非課税枠が使えるようになるのは翌年です。しかも、売った月がいつであっても翌年。1月に売っても12月に売っても、次に使えるのは同じ年です。「気に入らなければ売って買い直せばいい」は、NISAでは成立しません。わたしはこの代償を払って1本にしました。

つまり、わたしが2週間で3回方針を変えたことには、ポイントや信託報酬の差よりずっと大きな金額の代償があったということです。迷っていた時間は無料ではありませんでした。

きっかけは1冊の本だった

この判断をするきっかけになったのは、山崎元さんと水瀬ケンイチさんの『ほったらかし投資術』でした。

内容を要約するつもりはありませんが、わたしにとっては、タイトルがそのまま結論でした。ほったらかす。それだけです。読んでいるあいだずっと、自分が何をやっていたのかを突きつけられている感じがしました。

山崎元・水瀬ケンイチ/朝日新聞出版/ISBN 978-4022951670
869円(2026年8月15日時点)

1本にしてから、今日まで一度も設定を触っていません。為替が大きく動いたときも変えませんでした。そのときのことは28年ぶりの円買い介入。それでも積立設定を1つも変えなかった話に書いています。

決めることは3つしかなかった。いくら/何を/どう払うか

ここまでを整理すると、拍子抜けするくらい単純でした。積立で決めることは、3つしかありません。

01
いくら貯めるか
ゴールの金額。ここが決まっていないと、あとの2つがいつまでも揺れます。わたしは1,000万円と置きました。
02
何を買うか
わたしはオルカン1本にしました。ここに時間をかけすぎていたのですが、一度決めれば終わりで、毎月考え直すところではありません。
03
どう払うか
そして、わたしがいちばん後回しにしていたのがこれでした。3つのうち、ここだけがまだ終わっていませんでした。

後回しにしていた3つ目

楽天証券では、投資信託の積立をクレジットカード払いにするとポイントが付きます。わたしが使っている銘柄の場合は0.75%で、たとえば月2万円の積立なら年間1,800ポイントです。

ここで正直に書きます。わたしはこの程度の額を取りに行く設定を後回しにしたまま、何時間も銘柄を見比べていました。

年1,800ポイントは、正直たいした額ではありません。ただ、比べるべきはそこではなかった。設定は5分で終わって、そのあと二度と考えなくていい。一方で銘柄選びには何時間もかけて、しかも何度もやり直していた。時間の配分が完全に逆でした。

かけた時間と、戻ってきたもの
銘柄を見比べる
何時間 × 3回
戻ってきたもの:0円
決済方法をカードに変える
5分 × 1回
戻ってきたもの:年1,800ポイント

もしすでにクレジットカード払いにしているなら、3つとも埋まっています。その場合、投資の側でやることはもう残っていません。この記事の続きは、最後のまとめのほうにあります。

まだなら、積立設定の画面を開いて決済方法を確認するだけです。楽天カードを持っていない場合は、先にカードがないとこの設定自体が選べません。年会費は永年無料です。

煽るつもりはありません。一度やれば、二度と考えなくていい設定です。それだけの話です。

まとめ|投資でがんばるのをやめたら、やることは「黒字にする」だけになった

入金力を上げろ、とよく言われます。転職しろ、副業しろ、と。

わたしもやってみました。でも、収入はすぐには増えませんでした。転職も昇給も相手がいる話なので、自分が今日がんばったからといって今日変わるものではない。だから「入金力を上げろ」と言われるたびに、少し突き放された気持ちになっていました。

ただ、金額を決めてから気づいたことがあります。入金力は、稼ぐ力のことではありませんでした。毎月投資に回せる額というのは、要するに家計が黒字になった分のことです。収入から支出を引いた残り。

だとすれば、動かせる側がもう一方に残っています。収入は相手がいないと動かないけれど、支出は今日から動かせる。そして、そこに向ける気力は、銘柄を見比べるのをやめた分だけ出てきました。たとえば固定費をひとつ見直せば、浮いた分はそのまま入金額になります。銘柄をどれだけ見比べても、入金額のほうは1円も動きませんでした。

やったことを並べてみると、全部同じ動きをしています。

銘柄 3本 1本
判断 2週間で3回 0回
家計 見ていなかった 黒字にする

どれも「増やす」ではなく「整える」ほうの動きです。投資でがんばるのをやめたら、やることは家計を黒字にすることだけになりました。

娘が大きくなったときに、わたしが何を選んだかは覚えていないと思います。覚えているのは、いくら用意できたかのほうです。だからわたしは、選ぶのをやめました。

まだクレジットカード払いにしていないなら、そこだけ済ませておくと、しばらく何も考えなくてよくなります。

なお、なぜ入金額そのものが効いてくるのかは【複利とは】元本44万円が47万円に増えてやっとわかった話に、1,000万円という目標を置いた経緯は【宣言】月収20万の30代サラリーマンが、金融資産1000万を目指すブログ始めますに書いています。

参考・出典

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。リンクを経由して購入いただいた場合、わたしに少額の報酬が入ることがあります。記事の内容はリンクの有無に関わらず、わたし自身の評価・意見に基づいています。

※本記事は個人の記録であり、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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