オルカン1本だと口座を開かなくなる。だから25%だけ崩した話

気づいたら、証券アプリを何週間も開いていませんでした。

べつに調子が悪かったわけじゃありません。むしろ逆で、毎月ちゃんと積み立てられていて、中身も勝手に入れ替わってくれて、何の問題もなかった。問題がないから、見に行く用がなかったんです。

「オルカン1本でいい」とよく言われます。わたしもそう思っています。というより、現金とオルカン1本を持つのが、攻守のバランスとしては一番強いとすら思っている。

なのに今、わたしは3本持っています。オルカンと、日経225と、FANG+。しかも足した理由は「リスク分散のため」ではありません。

この記事は、その言い訳と、そのかわりに自分に課した上限のルールの話です。数字は全部出します。ただ、真似してほしいのは配分そのものではなくて、上限の決め方のほうです。

ちなみにこの記事で出てくる比率も積立設定も、全部楽天証券の画面から取っています。すでに口座をお持ちなら、読みながら自分の保有商品一覧を開いてみてください。自分の数字と並べて読むと、この記事は10倍役に立ちます。(まだの方は無料・5分ほどで開設できます)

目次

「オルカン1本でいい」は、たぶん正しい

先に、こちらの結論から書いておきます。オルカン1本という選択に、わたしは何の文句もありません。

よくできすぎている、というのが唯一の欠点

オルカン(全世界株式)は、世界中の株を時価総額の比率どおりに買ってくれます。伸びた会社は自動で比率が上がり、しぼんだ会社は自動で比率が下がる。自分では何もしなくていい。

たとえばわたしが積み立てている楽天・プラス・オールカントリーは、信託報酬が年0.0561%です。100万円を1年預けても561円。これで世界中の株を持てるなら、正直そのほかに何が必要なのかという話になります。

そこに現金があれば、なお強い。株が下がっているときに現金は減りませんし、急な出費が来ても投資信託を売らずに済む。攻めと守りが揃います。だから「現金とオルカン1本」が最強だと、今でも思っています。

ただ、この組み合わせにはひとつだけ欠点があります。よくできすぎていて、やることが何もない。

💡 この記事の立ち位置

「オルカン1本ではダメだから足しましょう」という記事ではありません。むしろ1本で十分だと思っている人間が、それでも崩したという話です。だから結論も「足しましょう」ではなく「足すなら上限を先に決めましょう」になります。

そもそもオルカンって何? という方は、以前にオルカン(eMAXIS Slim全世界株式)とは?で基本から書いています。この記事はその先、すでに持っている人が「これでいいのかな」と思い始めた地点から始めます。

足した理由は、リスク分散じゃなかった

「オルカン1本でいいのか」と検索したことがある人なら、たぶん見覚えがあると思います。出てくる答えが、どれもだいたい同じなんです。

検索して出てくる答えが、全部同じだった

地域が米国に偏っている。為替の影響を受ける。株式100%だから値動きが大きい。だからもう1本足しましょう——という流れです。証券会社のコラムも、FP監修の記事も、だいたいこの型でした。

言っていること自体は間違っていません。ただ、読んでいて「これ、自分の気持ちとは違うな」と思ったんです。わたしが2本目を考えたとき、頭にあったのはリスクの話ではありませんでした。

本当の理由は「口座を開く理由がなくなる」だった

オルカンと現金だけだと、口座を開く用事が発生しません。毎月自動で買われて、中身も勝手に入れ替わって、こちらがやることは何もない。よくできているぶん、見に行かなくなる。

それで何が困るのか。困ります。見なくなると、自分が何をどれだけ持っているのか分からなくなるからです。

たとえば以前、エヌビディアの個別株が欲しくなって調べていたら、個別株を1株も持っていないのにエヌビディアを間接保有していたと気づいたことがありました。持っているものを把握していなかったわけです。あれは自分の中身を見に行ったから分かったことで、見に行かなければ一生知らないままでした。

だから、口座を開く理由が要る。少しだけ動くものを置いておく。それがわたしがFANG+と日経225を足した、いちばん正直な理由です。

だから、足す前に上限を決めた

とはいえ、これは褒められた動機ではありません。「動きが欲しいから」で投資商品を増やすのは、放っておくとどこまでも増えていく類の理由です。自分でもそれは分かっていました。

そこで、足す前に決めたことがひとつあります。崩していいのは25%まで。

動きが欲しいだけなら、全部を動かす必要はありません。少し動いていれば見に行く理由になる。だったら上限を先に決めて、その中でやればいい。我慢するのではなく、居場所のほうを先に作っておくという発想です。

⚠️ ここは真似しないでください

「動きが欲しいから値動きの大きいものを買う」は、投資の動機としては正しくありません。わたしはそれを分かったうえで、上限を決めるという条件つきでやっています。おすすめしているのは「足すこと」ではなく「上限を先に決めること」のほうです。

あなたはどうですか。「これがないと、そもそも見に行かなくなる」というもの、心当たりはありませんか。

3つの枠に、それぞれ違う役割を持たせた

そうして決めたのが、オルカン50%・日経225 25%・FANG+ 25%という配分です。ただ、この数字は「バランスがよさそうだから」で決めたわけではありません。3つの枠に、それぞれ違う仕事を割り当てています。

オルカン 50%
日経 25%
FANG+ 25%
土台
日本の枠
動きの枠
(ここが上限)
比率 役割
オルカン 50% 土台。一番強いと思っているものを半分
日経225 25% 日本の枠。日本に住んでいるから
FANG+ 25% 動きの枠。上限つきで、崩していい範囲

日経225は「日本に住んでいるから」という理由

日本株を入れる理由として、よく「為替リスクの緩和」「日本の成長を取り込む」といった説明がされます。もっともらしいのですが、わたしの理由はもっと単純です。

日本に住んでいる日本人として、日本を持っておきたい。それだけです。

稼ぐのも使うのも円で、生活しているのも日本です。それなのに持ち物が全部よその国、というのが感覚的にしっくりこなかった。理屈というより、居心地の問題に近いかもしれません。根っこには「結局アメリカと日本だろう」という自分なりの見立てもあります。

ちなみにFANG+をなぜ選んだのかという商品そのものの話は、S&P500・NASDAQ100・FANG+の比較記事で書いています。ここでは「動きの枠として置いている」という位置づけの話に絞ります。

国で数え直したら、日本は思ったより少なかった

ここまで書いておいて何ですが、この配分には自分でもツッコミどころがあります。商品名で50:25:25にしても、国で数えるとぜんぜん違う形になるんです。

オルカンは「全世界」ですが、中身は米国が約64%、日本は約5%です(MSCI ACWI・2026年6月末時点)。FANG+は米国のテック企業10社。日経225は日本株。これを50:25:25で混ぜると、こうなります。

商品名では 50 : 25 : 25。それを国で数え直すと——
米国 57%
日本 27%
その他
計算 結果
米国 オルカン50%×64% + FANG+25% 約57%
日本 オルカン50%×5% + 日経225 25% 約27%
その他 残り 約16%

日本を持ちたくて25%も入れたのに、国で数えると27%。米国のほうが倍以上あります。

もちろん、オルカン1本だけなら日本は約5%ですから、5倍以上には増えています。意図した方向には動いている。ただ「アメリカと日本」と言いながら、実態はかなりアメリカ寄りでした。商品名で分けているつもりでも、単位を変えると自分の本当の形が見えてくる。

なぜこうなるかというと、オルカンのような指数が「大きい会社ほど多く持つ」というルールで作られているからです。この仕組みの話は長くなるので別に書きますが、自分の積立の中身を通貨・国・セクターで洗い出した記事でも同じ壁にぶつかっています。

決めた比率に、1円も売らずに寄せていく

さて、ここからが実務の話です。決めた比率と、今の比率はぜんぜん違います。

2026年8月4日時点で、わたしの3本の比率はこうなっています。

  • FANG+:81.0%
  • オルカン:13.1%
  • 日経225:6.0%

目標が50:25:25で、現実は81:13:6。だいぶ離れています。ではどうやって寄せるか。

売らない理由は、NISAの枠がその年のうちに戻らないから

いちばん手っ取り早いのは、FANG+を売ってオルカンを買うことです。でも、それはしません。

新NISAで売却すると、買ったときの金額(簿価)のぶんだけ非課税の生涯投資枠(1,800万円)が戻ってきます。ただし戻るのは翌年です。年間の投資枠(360万円)が増えるわけでもありません。つまり、売った枠をその年のうちに使い直すことはできない。

それに、順調に育っているものをわざわざ手放す理由もありません。だから売らずに、買い足すほうだけで寄せていきます。減っているほうを多めに買う。それだけです。

売って直す 買い足して直す
スピード 速い 遅い
NISA枠 戻るのは翌年 減らない
必要なもの なし 追加の入金
手間 そのつど判断 設定1回で自動

積立設定と、半年後にどこへ着地するか

実際に設定したのがこれです。月2万円。オルカンに13,000円、日経225に7,000円。FANG+への積立は止めました。

この設定のまま半年たつと、比率がどうなるか計算してみます。

今(2026年8月4日)
FANG+ 81%
13%

月2万円を半年(オルカン13,000円/日経225 7,000円)
半年後
FANG+ 27%
オルカン 48%
日経 25%
オルカン 日経225 FANG+

ほぼ着地します。1円も売らずに、設定を1回変えるだけで。

ただしこれは相場がまったく動かないと仮定した単純計算です。実際には毎日値段が動くので、このとおりにはなりません。あくまで方向感をつかむための計算だと思ってください。

毎日積立から毎月積立に変えた理由

ついでに、積立の頻度も毎日から毎月に変えました。理由はポイントです。

毎日積立と毎月積立、どちらが有利かは各所で検証されていますが、5年・10年・20年のどれで見てもリターンの差は1%未満という結果でおおむね一致しています。ほとんど誤差です。

いっぽうで、楽天証券のクレカ積立は毎月のみで、毎日積立では使えません。つまり毎日積立を選んでいるあいだ、ポイントはゼロでした。

ここで注意点がひとつ。楽天ゴールドカードでも、還元率は一律ではありません。代行手数料が年率0.4%未満のファンドは還元率が下がる仕組みで、オルカンのような低コストファンドはこちらに該当します。ゴールドカードの場合は0.75%です。

月2万円なら、年間で1,800ポイント。派手な金額ではありません。でもほとんど差のないリターンを捨てて、確実に入るポイントを取るという判断なら、迷うところではないと思いました。

設定の変更自体は、積立設定の画面で決済方法を「楽天カード」に切り替えるだけです。1回やれば、あとは毎月勝手にポイントが付きます。毎日積立のままにしている方は、ここだけでも見ておく価値があります。

この方法がうまくいかないとき

売らずに買い足すだけで直す、というやり方には弱点があります。都合のいい話ばかりではないので、ここも書いておきます。

ひとつめ。追加の入金が前提になります。買い足して直すということは、新しいお金を入れ続けるということです。入金が止まれば比率は一生寄りません。売って直す方法にはこの制約がないので、そこは明確に劣っています。

ふたつめ。相場が動けば計算どおりになりません。たとえばFANG+がこの半年でさらに大きく伸びたら、こちらが買い足すペースを上回って、6ヶ月では届かなくなります。逆に下がれば早く着地します。どちらにしても、予定は予定でしかありません。

みっつめ。偏りが極端すぎると時間がかかりすぎます。今回は半年で寄る計算でしたが、もっと資産が大きい人や、入金額が相対的に小さい人だと、何年もかかることがあります。その場合は一部を売る判断も現実的です。

決めている上限は、もうひとつある

毎月の積立とは別に、もうひとつ先に決めていることがあります。節約できた分と、臨時収入の分け方です。

節約できた分
臨時収入
現金口座 50%
投資口座 50%

以前は、全部そのまま投資に回していた

白状すると、以前は違いました。つみたて投資枠と成長投資枠の使い分けを書いた記事では、節約できた分も臨時収入も貯金に残さず全部そのまま投資に回す、と書いています。

今は半分を現金口座に置いています。考えが変わったからです。

最初に書いたとおり、現金とオルカン1本を持つのが攻守バランスとしては一番強いと思うようになりました。そう考えるなら、現金は「余ったら貯めておくもの」ではありません。持っておくべき持ち物のひとつとして、最初から数に入れておくべきものです。

半分ずつと決めておくと、臨時のお金が入るたびに「全部入れるか、置いておくか」で迷わずに済みます。そして、勢いで全部突っ込むこともなくなります。

決めているものは、全部おなじ形をしていた

こうして並べてみると、自分が決めていることの形が似ていることに気づきます。

決めていること 中身 何を止めているか
崩していい枠 25%まで 動きを求めて突っ走ること
臨時のお金 現金50/投資50 全部を投資に突っ込むこと
毎月の積立 オルカン13,000/日経7,000 (寄せるための手段)

どれも「今いくら持っているか」ではなく、「入ってきたお金をどう分けるか」のルールです。そして上の2つは、どちらも上限=歯止めとして置いてあります。

わたしは自分がやりすぎる人間だと思っています。だから「気をつけよう」ではなく、先に限度のほうを決めました。動きが欲しい気持ちを我慢させてもいません。25%という居場所を作って、そこから出られないようにしてあるだけです。

これはFANG+の話じゃない。枠に入れるものは人それぞれでいい

ここまで自分の配分の話ばかり書いてきましたが、50:25:25という数字を真似してほしいわけではありません。これはわたしの考えから出た数字で、あなたの数字ではないからです。

持ち帰ってほしいのは、中身ではなく形のほうです。

✅ この記事で言いたいこと

  • 誰にでも「合理的じゃないけど、これがないと続かない」ものがある
  • それを我慢するか、無自覚にやりすぎるかの二択ではない
  • 上限を先に決めて、居場所を作ればいい

わたしの場合、枠に入れたのはFANG+でした。でもここは人によって全然違うはずです。たとえば、こんな具合に。

こういう人なら 枠に入るもの
半導体やAIのニュースを追うのが好き SOX(半導体指数)
米国の大きい会社をまとめて持っておきたい S&P500・NASDAQ100
配当金が振り込まれるのが嬉しい 高配当株・高配当ETF
応援している会社、信じている会社がある その会社の個別株
株主優待が届くのが楽しみ 優待のある銘柄
インフレや有事のニュースが気になる 金(ゴールド)

どれが正解ということはありません。というより、正解を決めなくていいのがこの枠のいいところです。合理性で言えばオルカン1本に負けるとしても、それがあるから口座を開くのなら、意味があります。

ただ、並べてみると共通点もあります。どれもオルカンより、何かに寄っている。業種だったり、国だったり、1社だったり、資産の種類だったり。寄っているから面白いし、寄っているから危ない。だから枠を切ります。

大事なのは、中身が正しいかどうかではなく、上限が決まっているかどうかです。上限のない「ちょっとだけ」は、たいてい、ちょっとでは終わりません。

その枠に、あなたなら何を入れますか。そして——何%までにしますか。

まとめ|正しさを、言い訳に使わない

オルカン1本は正しい選択です。それは今でもそう思っています。

だからこそ、足すときにその正しさを言い訳に使わないようにしました。「リスク分散のために2本目を」と自分に言い聞かせるほうが、体裁はいいと思います。でも本当の理由は口座を開く理由が欲しかっただけで、それを分散という言葉ですり替えると、次に足すときの歯止めがなくなります。

認めたうえで上限を決める。それが、わたしがたどり着いたやり方でした。

自分でやるなら、この順番

STEP1
崩していい上限を決める

先に決めるのは配分ではなく上限です。「合理的じゃないけど持っていたいもの」を全体の何%までにするか。わたしは25%にしました。10%でも構いません。数字を口に出せる形にしておくことが大事です。

STEP2
今の比率を確認する

証券口座の保有商品一覧を開いて、それぞれの評価額から比率を出します。決めた上限をもう超えているかどうかを見るだけです。ここで慌てて売る必要はありません。

STEP3
積立設定の金額に落とす

上限を超えているものは積立を減らすか止めて、足りていないものを増やします。金額を書き換えるだけです。あとは毎月自動で寄っていきます。

すでに積立をしている方なら、STEP2から始められます。今日やることは、売買ではなく設定の見直しだけです。5分あれば終わります。

まだ始めていない方は、順番が逆でむしろ有利です。最初に上限を決めておけば、後から直す手間がありません。まずは自分が何をどれだけ持っているか、一目で見られる状態を作るところからだと思います。

半年後、この比率が実際どうなったかは、また書きます。相場は計算どおりに動かないので、たぶんズレます。そのズレも含めて記録しておこうと思います。

そのほか、配分そのものについてはコア・サテライトが逆転していた話、指数のリバランスに何か対応が要るのかについてはFANG+のリバランスを調べた記事、相場が荒れたときの気持ちの持ち方については投資メンタルの記事で書いています。

参考・出典

※本記事の比率・構成比は2026年8月4日時点のものです。相場によって日々変動します。また、特定の商品や配分を推奨するものではなく、筆者自身の設計を記録したものです。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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