寝室のエアコンをつけっぱなしにしないと、もう眠れない。
ただ8月の請求を見るたびに、来年こそ何とかしようと毎年思っている。設定温度を1℃上げればいいのはわかっている。でも上げると寝苦しくて、結局夜中に下げ直している。それで「サーキュレーター 寝室」で検索したら、20機種を並べたランキング記事がずらっと出てきて、読む前に閉じた。
そもそも枕元で一晩じゅう回して、うるさくないのだろうか。2歳の娘と同じ部屋で寝ているので、娘を起こしてしまうなら置く意味がない。音の問題を先に片づけないと、どれを買うかを考えても仕方がないと思った。
ということで、自分で調べて5本まで絞った。先に書いておくと、わたしはまだ買っていない。これは「使ってみた」記事ではなく、これから買うために調べた記録だ。
そして調べているうちに、正直あまり書きたくない数字が出てきた。電気代の元が取れるのは、8年後だった。
それでもわたしは買う。理由も含めて、順番に書いていく。結論だけ先に見たい人はこちら。
寝室のエアコン、1℃上げるだけで消費電力は約13%減る
まず前提になる数字から。資源エネルギー庁が公開している省エネ情報によると、冷房の設定温度を1℃緩和すると、消費電力量は約13%削減できるとされている。暖房の場合は約10%なので、実は冷房のほうが効きが大きい。
13%というのは、なかなかの数字だ。たとえば夏のエアコン代が月3,000円かかっているなら、約390円が浮く計算になる。何も買わず、何も我慢せず、リモコンのボタンを1回押すだけで。
ただ、これができないから困っている。28℃に上げた夜に何が起きるかというと、体感はまったく涼しくない。理由ははっきりしていて、冷たい空気は重いので、部屋の下のほうに溜まったまま動かないからだ。エアコンの温度計は部屋の上のほうを測っているので、機械は「28℃になりました」と判断しているのに、寝ている高さはもっと暑いという状態になる。
そこで空気をかき混ぜるのがサーキュレーターの役割になる。扇風機が「人に風を当てる」道具なのに対して、サーキュレーターは「部屋の空気を循環させる」道具で、直進性の強い風を出すように作られている。溜まった冷気を天井方向に送って部屋全体を均一にすれば、設定温度を上げても体感は変わらない、という理屈だ。
💡 ポイント
サーキュレーターは「涼しくする機械」ではなく「エアコンの設定温度を上げても平気にする機械」。単体で置いても部屋は冷えない。エアコンとセットで初めて意味が出る。
でも計算したら、元が取れるのは8年後だった
ここまでは、どのサイトにも書いてある話だ。問題は「で、いくら得するの?」が誰も書いていないことだった。それなら自分で計算するしかない。
条件はわが家に合わせて、寝室6畳・夜8時間・30日で置いた。東京電力が公開している畳数別の電気代(電力量料金31円/kWhで計算)をもとにすると、6畳のエアコンを一晩中つけた場合の電気代は月およそ2,600円になる。
そしてサーキュレーター側の電気代。雑誌『家電批評』が実際に計測した数字では、DCモーターのモデルで1か月あたり約63.6円だった。ざっくり月64円としておく。
ここは前提を書いておかないとフェアではない。この64円は、DCモーターを弱めの風量で回した場合の数字だ。電力会社やメーカーの資料では、サーキュレーターの消費電力は一般に20〜30Wとされていて、その計算だと8時間×30日で月180円前後になる。強風で回せばそちらに近づく。寝室で使う前提なら風量7以下で足りるので、この記事では低速運転の数字を採用している。
この2つを引き算すると、こうなる。
| 寝室6畳・ひと月あたり | 夜8時間だけ | 24時間つけっぱなし |
|---|---|---|
| エアコン代 | 約2,600円 | 約10,000円 |
| 1℃上げて13%削減 | −約340円 | −約1,300円 |
| サーキュレーターの電気代 | +約64円 | +約64円 |
| 差し引き | 約276円お得 | 約1,236円お得 |
| 夏3か月では | 約830円 | 約3,700円 |
| 7,000円の本体を回収するまで | 約8年 | 約2年 |
正直、表を作りながら少ししょんぼりした。わたしのように寝ている間だけ使う場合、電気代の節約分だけで本体代を取り返すには約8年かかる。サーキュレーターの寿命がそこまでもつかどうかも怪しい。
だからここははっきり書いておきたい。「電気代が浮くから買おう」という理由なら、買わないほうがいい。元は取れない。
ただし、あなたが在宅ワークなどでエアコンを24時間つけっぱなしにしている人なら話はまったく別だ。その場合は約2年で回収できる。使い方次第で結論が4倍変わるので、自分がどちらなのかは先に確認しておいたほうがいい。
⚠️ 注意
上の金額は2026年8月8日時点の電気料金と本体価格をもとにした試算で、電力会社・地域・部屋の断熱性能によって変わる。大事なのは金額そのものより「節約分だけでは元が取れない」という関係のほうだと思っている。
それでもわたしが買うことにした理由
じゃあなぜ買うのか。計算を終えたあとに気づいたのは、自分が本当に困っているのは電気代ではなかったということだ。
困っているのは、夜中に暑くて目が覚めることのほうだった。27℃で寝ると寒くて、28℃にすると暑い。その中間がなくて、毎晩リモコンを触っている。そして翌朝は寝不足のまま出社している。
そう考えると、この買い物で手に入るものは「月276円」ではない。「28℃でも眠れる状態」のほうだ。7,000円を8年で割ると1年あたり875円、ひと夏あたりに直せば1,000円もしない。それで夏の90日間の睡眠が変わるなら、わたしにとっては十分に安い。
ついでに言うと、電気代のほうは「実質のランニングコストがゼロ以下になる」と捉えている。月64円払って340円返ってくるので、置いておくこと自体では損をしない。本体代を取り返せないだけだ。
ここを分けて考えられるようになってから、迷いがなくなった。節約グッズとして買うと元が取れなくて後悔する。睡眠のための道具として買うなら安い。あなたはどちらのつもりで探していただろうか。
寝室で使うなら、条件は3つだけに絞れた
買うと決めたあとで、20機種を見比べるのはやめた。寝室に置くという前提を立てると、外せない条件は3つしかなかったからだ。
とくに1つめが大きい。サーキュレーターのモーターにはACとDCの2種類があって、価格差の正体はほぼここにある。DCモーターは動作音が小さく、消費電力も少なく、風量を細かく調整できる。複数のレビューサイトでも、寝室や子ども部屋で使うならDC一択という書かれ方をしている。
| ACモーター | DCモーター | |
|---|---|---|
| 動作音 | 大きめ | 静か |
| 風量の段階 | 3段階前後 | 8〜10段階 |
| 電気代 | 高め | 安い |
| 本体価格 | 2,000円台〜 | 5,000円台〜 |
| 寝室向きか | △ | ◎ |
音の目安としては、弱運転で50dB以下が「会話を邪魔しない」ラインとされている。ただし各メーカーのカタログ値は測定条件がバラバラで、そのまま並べても比較にならない。だからこの記事では、dBの表を作るのはやめた。数字がそろっていないものを表にすると、正確そうに見えて実は嘘になる。
Amazonの売れ筋1位は2,600円。それでも買わないことにした
ここで一度、財布が揺れた話をしておきたい。
Amazonでサーキュレーターのベストセラー1位を見ると、アイリスオーヤマの「マカロン PCF-MKM15EC-W」が出てくる。8畳対応、全分解して洗える、しかも2,600円。過去1か月で1万点以上売れている。正直、これでいいのでは、と5分くらい本気で思った。
ただ仕様を確認したら、ACモーターだった。ここでさっきの3条件の1つめに引っかかる。
リビングで日中に使うなら、2,600円のACモデルはたぶん正解だと思う。実際これだけ売れているのがその証拠だ。でもわたしが置きたいのは、家族が寝ている部屋の枕元だ。ここで「安かったけどうるさくて使わなくなった」をやると、2,600円をまるごと捨てることになる。
だから差額の約4,400円は、「静かさを買うための追加料金」だと整理した。ここを納得してからのほうが、5本を比べるのがずっと楽になった。
ちなみにリビング用に1台という人のために、そのマカロンのリンクも置いておく。楽天が2,780円、Amazonが2,600円だ(2026年8月8日時点)。
寝室用に絞った5本
というわけで、条件を満たすものだけを価格順に5本並べた。全部DCモーターで、寝室で使う前提のものだけにしている。
| 機種 | 価格 | 向いている人 |
|---|---|---|
| アイリスオーヤマ PCF-SDS15T-W |
5,980円 | とにかく安くDCモーターがほしい人 |
| アイリスオーヤマ PCF-SDC15T-EC-W |
6,980円 | 迷ったらこれ(わたしが買う1台) |
| siroca SF-15A221 Japandi |
7,980円 | 見た目を妥協したくない人・部屋干しにも使いたい人 |
| SwitchBot スタンド型 |
11,980円 | 静かさを最優先する人・昼はリビングでも使いたい人 |
| シャープ PK-18S03-H |
約17,400円 | 予算を気にせず全部入りがほしい人 |
1. アイリスオーヤマ PCF-SDS15T-W|5,980円
3条件を満たすなかで、いちばん安いのがこれ。20畳対応のDCモーターで、風量は8段階、左右首振り、リモコンと切タイマーが付いて5,980円。アイリスの「DC silent」というサイレントモデルにあたる。
これは楽天で買うほうがいい。Amazonにも同じ型番はあるのだが、確認したら「おすすめ出品」が付いておらず、中古込みで7,980円からだった。楽天なら新品が5,980円なので、2,000円の差がつく。だからこの1台にはAmazonのボタンを置いていない。
2. アイリスオーヤマ PCF-SDC15T-EC-W|6,980円(本命)
わたしが買うことにしたのがこれ。28畳対応のDCモーターで、3Dランダム送風という上下左右をランダムに動く首振りが付いている。工具なしで分解して丸洗いできて、リモコンも付属する。
選んだ理由は、6畳の寝室に28畳対応を置くとずっと弱運転で足りるからだ。同じ風量を出すのに、小さい機種を全開で回すより、大きい機種を弱で回すほうが静かになる。3条件でいちばん重視した「微風が作れる」に、真正面から効いてくる。
ひとつ、型番でつまずきかけたので共有しておく。レビューが4,966件付いている「PCF-SDC15T」という無印の旧型が検索で先に出てくるが、あちらは在庫切れで、中古込み12,080円からしか買えない。今9,200円前後で新品が買えるのは末尾に「-EC-W」が付いた28畳の後継モデルのほうだ。レビュー件数の多さで旧型を選ばないように注意したい。
3. siroca 3Dサーキュレーター Japandi SF-15A221|7,980円
最後まで本命と迷ったのがこれ。DCモーター、3D首振り、風量8段階、衣類乾燥モード付き。雑誌『家電批評』の比較検証では「コスパBEST」として3位に選ばれている。
強いのは、寝室以外でも使い道がある点だ。衣類乾燥モードがあるので梅雨の部屋干しに転用できる。夏だけの家電にならないぶん、実質的な元は取りやすい。あとは単純に見た目がいい。寝室に置く家電で生活感が出ないのは、地味だが効いてくる要素だと思う。
4. SwitchBot スマートサーキュレーター スタンド型|11,980円
静かさだけで選ぶなら、これが有力になる。『家電批評』が10製品を比較した検証で、静音性で1位を取っている。
もうひとつの特徴がコードレスであること。バッテリーを内蔵しているので、夜は寝室、昼はリビングという移動ができる。1台を家じゅうで使い回せると考えれば、11,980円という価格の見え方も変わってくる。寝室のコンセント位置に悩まなくていいのも地味にありがたい。
5. シャープ PK-18S03-H|約17,400円
価格.comの扇風機・サーキュレーター部門で人気1位、『家電批評』の比較でも2位という、いわば優等生。プラズマクラスターNEXT搭載で、30畳まで対応する。
ただ、わたしはこれを買わない。本命との差額は約1万円で、その1万円で得られるのは主にプラズマクラスターと大風量だ。6畳の寝室で30畳対応の大風量が要るかというと、要らない。上を見るとこうなる、という基準として並べている。
わたしはPCF-SDC15T-EC-Wを買う。ひとつだけ不安なこと
結論としてはアイリスオーヤマのPCF-SDC15T-EC-Wにした。6,980円で28畳対応のDCモーター、切タイマーとリモコンが付いていて、丸洗いできる。寝室に置く1台としては、必要な条件を全部満たしている。
ただ、不安がひとつだけある。レビューを読んでいると「風量を8以上に上げるとモーター音が気になる」という指摘が複数あった。裏を返せば7以下なら静からしいのだが、これは実際に置いてみないとわからない。もし寝室で使うのに8以上が必要だったら、わたしの選択は外れることになる。
そこも含めて、買ったらまた書こうと思う。以前Kindle Paperwhiteを買ったときも、使い始めてから「Colorsoftにすればよかった」と後悔した話を正直に残した。今回もそうなる可能性はある。
✅ この記事のまとめ
- 冷房を1℃上げると消費電力は約13%減る。でも上げると寝苦しいので、そこを埋めるのがサーキュレーター
- 寝ている間だけ使う場合、電気代の節約分で本体代を回収するには約8年かかる。24時間つけっぱなしなら約2年
- だから「節約のため」に買うと後悔する。「28℃でも眠れる」を買うつもりなら安い
- 寝室で使うなら条件は3つ。DCモーター・微風が作れる・切タイマー
- 2,600円のACモデルは日中のリビング向き。枕元に置くなら差額は静かさへの投資
今年の夏はもう半分過ぎた。それでも8月と9月の夜はまだ40回以上ある。今から置いても、たぶん間に合う。
参考・出典
- 資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約(空調)」
- 東京電力エナジーパートナー「くらひろ|エアコン冷房を1か月つけっぱなしにしたら電気代は?」
- 360LiFE(家電批評)「サーキュレーターのおすすめランキング10選」
- 価格.com「扇風機・サーキュレーター 人気売れ筋ランキング」
- マイベスト「サーキュレーターのおすすめ人気ランキング」
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