楽天テック12の12銘柄を調べたら、7社で84%だった話

楽天テック12という投資信託が出ます。

米国のテック企業12社に集中する。信託報酬は年0.462%でFANG+より安い。スペースXが入っている。ここまでは、どこにでも書いてあります。

ただ、わたしはこれを読んでも「で、これは何なのか」が分かりませんでした。だから自分が分かるまで調べました。公式のPDFを7ページ全部と、特集ページの図版を1枚ずつ開いています。

この記事の数字は、すべて楽天投信投資顧問の公式資料と楽天証券から取っています。2026年9月1日時点のものです。

目次

まず、いつ買えるのか

「設定日は9月25日」と書いてある記事が多いのですが、買えるようになるのは9月10日です。

項目 内容
正式名称楽天・米国テクノロジー株式集中投資インデックス・ファンド
愛称楽天・テック12
当初申込期間2026年9月10日〜9月24日
設定日(運用開始)2026年9月25日
買える場所楽天証券のみ
NISA成長投資枠のみ(つみたて投資枠では買えない
信託報酬年0.462%(税込)
購入時手数料なし
信託財産留保額なし(解約時に引かれるお金がない)
決算日毎年10月15日(第1期は2027年10月15日)
為替ヘッジなし
信託期間無期限

「当初申込期間は1口1円」の意味

公式資料には、当初申込期間の申込価額が「1口当たり1円」と書いてあります。これだけ見ると意味が分かりません。

投資信託は「口(くち)」という単位で買います。1口1円なので、1万円出せば1万口。まだ運用が始まっていないので値段は動かず、この期間はずっと同じ価格です。

ニュースで見る「基準価額」は1万口あたりの値段で表示されるので、スタート時点では10,000円ということになります。そこから上がったり下がったりします。

そもそも、何を買うファンドなのか

「指数に連動する」というのは、どういうことか

ここがいちばん誤解しやすいところでした。

楽天投信が「この12社がいい」と選んでいるわけではありません。先に指数という「銘柄と比率のリスト」があって、楽天投信はそのリストどおりに買うだけです。

そのリストを作っているのは、ドイツのSolactive(ソラクティブ)という会社です。運用会社とは別の会社が、決めたルールで機械的に銘柄を並べています。

ファンド 連動する指数 指数を作っている会社
楽天・テック12Solactive・米国超大型テクノロジー株式12指数Solactive(ドイツ)
iFreeNEXT FANG+NYSE FANG+ICE(米国)
eMAXIS Slim 全世界株式MSCI ACWIMSCI(米国)

つまり「どの指数に乗るか」を選ぶのが、ファンドを選ぶということです。指数が違えば、入る会社も比率もルールも変わります。

12銘柄は、どうやって選ばれるのか

段階 やること
1NASDAQ市場に上場する米国企業のうち、金融セクターを除く時価総額上位100銘柄を用意する
2そこからテクノロジー関連企業を抜き出す
3時価総額の大きい順に並べる
4上から12社を採用する

1段階目に、大きな条件が隠れている

「NASDAQ市場に上場する」という条件です。

アメリカの株式市場はひとつではありません。NASDAQとニューヨーク証券取引所(NYSE)が別にあって、会社によってどちらに上場しているかが違います。この指数はNASDAQしか見ないので、NYSEのテック企業は、どれだけ大きくても入りません。

会社 上場市場 候補になるか
アップル/エヌビディア/マイクロソフト ほかNASDAQなる
オラクルNYSEならない
セールスフォースNYSEならない
IBMNYSEならない

「米国のテック企業から時価総額の大きい12社」と聞くと、アメリカのテック全体から選んでいるように読めます。実際は、NASDAQに上場している会社の中からの12社です。良い悪いではなく、そういうルールだという話です。

その12社は、これです

特集ページの図版に、12社すべての名前が出ています。何の会社かを一社ずつ書き足しました。

時価総額 上位7銘柄(各12%) 何をしている会社か
ブロードコム通信機器やデータセンター向けの半導体。企業向けソフトも手がける
アマゾン・ドット・コムネット通販と、クラウドサービスのAWS
アップルiPhone・Mac。ハードとサービスの両方
エヌビディアAIの計算に使う半導体(GPU)
アルファベットGoogle検索・YouTube・Android。売上の柱は広告
マイクロソフトWindows・Office・クラウドのAzure
スペースXロケットと、衛星インターネットのスターリンク。2026年6月12日に上場したばかり
その他5銘柄(各3.2%) 何をしている会社か
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)CPUとGPU。エヌビディアの競合
マイクロン・テクノロジー記憶用の半導体(メモリ)。スマホやAIサーバーに入る
テスラ電気自動車と蓄電池
シスコ・システムズネットワーク機器。インターネットの土台になる装置
メタ・プラットフォームズFacebook・Instagram・WhatsApp

2026年7月作成時点。構成比率は銘柄見直し時の比率です。

ここで気づいたことがあります。テスラとメタが「その他5銘柄」に入っています。どちらも名前を知らない人がいないくらいの会社ですが、この指数では各3.2%です。

つまり上位7社が、それだけ大きいということです。そして上場して3か月経っていないスペースXが、テスラの約4倍の重みで入っています。

12銘柄と言いながら、7社で84%

グループ 1社あたり 合計
上位7社12%84%
その他5社3.2%16%

押さえておくと分かりやすいことが2つあります。

ひとつ目。上位7社の中では、順位の差が反映されません。1位も7位も同じ12%です。時価総額が2倍違っても、持つ量は同じになります。

ふたつ目。残り5社は、ほとんど効きません。5社まとめても16%です。

楽天・テック12 FANG+ オルカン
銘柄数1210約2,600
配分の決め方上位7社は各12%、残りは各3.2%10社すべて各10%時価総額に比例
1銘柄の最大12%10%約4.8%
上位7社の合計84%70%約20%
投資先の国米国のみ米国のみ約50の国と地域

銘柄数はテック12のほうが2つ多いのに、上位への寄りは強い。「12銘柄だから10銘柄より分散が効いている」とは言えません。

入れ替えは年4回、ただし大型IPOは待たない

定期の入れ替えは2月・5月・8月・11月の年4回です。それとは別に、大きな新規上場があったときは、定期見直しを待たずに組み入れます。

実例が公式資料に載っていました。スペースXです。

日付 できごと
2026年6月12日スペースXが上場(史上最大規模の資金調達)
2026年6月29日指数に組み入れ。上場から10営業日後
(次の定期見直し)8月。2か月待たずに入った

10営業日です。上場して2週間ほどで、指数の12%を占める銘柄になりました。

これを「新しいものをすぐ取り込める」と読むか、「実績のない会社がいきなり12%になる」と読むかは分かれると思います。どちらも同じ仕組みの説明です。

なお公式資料には、上場日が定期見直しの判定日の前後に当たる場合はこの扱いにならないことがある、とも書かれています。毎回10営業日というわけではありません。

FANG+の「等金額に戻す」とは、何が違うのか

頻度 やること
テック122・5・8・11月
+大型IPO時に随時
上位7社を各12%に戻す。「上位7社」の顔ぶれ自体が入れ替わる
FANG+3・6・9・12月10社を等金額に戻す
オルカン年2回時価総額の比率に合わせ直す

「等金額に戻す」を具体的にすると、こうです。10社を10%ずつ持っていて、3か月のあいだにA社が上がりB社が下がったとします。放っておくとA社が12%、B社が8%になる。等金額に戻すというのは、上がったA社を売って、下がったB社を買い足すということです。

これを3か月ごとに自動でやります。勝っている銘柄を減らし、負けている銘柄を増やす動きです。

いっぽうオルカンは逆で、上がった会社の比率がそのまま上がります。勝った会社を多く持ち続ける形です。

テック12はその中間で、上位7社の中では等金額に戻しますが、そもそも誰が上位7社なのかが時価総額で入れ替わります。7位の会社が8位に落ちれば、12%から3.2%に下がります。

信託報酬0.462%の中身

受け取る先 役割 年率(税込)
委託会社(楽天投信投資顧問)運用する0.220%
販売会社(楽天証券)売る・口座を管理する0.220%
受託会社(信託銀行)お金と株を預かる0.022%
合計0.462%

運用する会社と、売る会社が、同じ額を受け取っています。そして売る会社は楽天証券だけです。

100万円を1年持ったとき 信託報酬
FANG+(年0.7755%)7,755円
テック12(年0.462%)4,620円
オルカン(年0.05775%)578円

「FANG+より安い」は本当でした。100万円あたり年3,135円の差です。ただしオルカンより年4,042円高い。3本の真ん中です。

0.462%だけでは終わらない

目論見書には、信託報酬とは別に監査報酬・売買委託手数料・外貨建資産の保管費用などがかかると書かれています。そして「事前に料率や上限額を表示することができません」とあります。

つまり実際にかかる合計は0.462%より少し多くなります。どれくらい多いかは、運用が始まって決算を迎えるまで分かりません。これはどのファンドでも同じです。

わたしの積立は月5,000円です。その規模で計算しました。

月5,000円を積み立てた場合 元本 信託報酬
1年後60,000円年277円
5年後300,000円年1,386円
10年後600,000円年2,772円

元本に対する計算で、運用による増減は含めていません。

10年積んで年2,772円。この規模なら、コストの差より先に効くものが他にあります。わたしの場合は入金力のほうでした。

指数の過去は、どうだったのか

ファンドの運用実績はありません。9月25日に始まるので、基準価額も騰落率もまだ存在しません。

ただ、連動先の指数の過去5年分は、公式に出ています。特集ページに、4つの指数を並べたグラフが載っていました。

2021年6月を100としたとき(2026年6月時点) 位置
Solactive・米国超大型テクノロジー株式12指数いちばん上
NYSE FANG+指数2番目
ナスダック100指数3番目
S&P500種指数いちばん下

楽天投信投資顧問の特集ページに掲載されたグラフより。

ここは読み方に注意が要ると思いました。この5年間、指数そのものは存在していません。いまのルールを過去に当てはめたらこうなった、という計算です。

そしてこの5年は、米国の大型テックがいちばん強かった5年です。大型テックに寄せた指数が上に来るのは、ある意味で当然の結果でもあります。

これから同じになるかどうかは、このグラフからは分かりません。

いま言えること

こう見える 実際はこう
米国テックの上位12社を持てるNASDAQ上場に限る。オラクル・セールスフォース・IBMは入らない
12銘柄に分散している上位7社で84%。テスラもメタも3.2%
FANG+より安い本当。100万円で年3,135円。ただしオルカンより年4,042円高い
新しいものを取り込める本当。スペースXは上場から10営業日で12%に
過去5年はFANG+より上だった指数を過去に当てはめた計算。ファンドの実績ではない

調べる前のわたしは、「FANG+より安い米国テックのファンド」としか思っていませんでした。安いかどうかしか見ていなかったということです。

調べたあとも、買うかどうかは決めていません。ただ、中身は分かりました。NASDAQの中の12社で、7社で84%で、上場3か月の会社が12%入っていて、入れ替えは年4回。それが自分に合うかどうかは、また別の話です。

安いという理由だけで選ぶと、次にもっと安いものが出たときに、また同じことをします。わたしは119日で3回それをやりました。それだけの話です。

もし気になっているなら、買う前に「これは何に連動していて、どういうルールで銘柄が決まるのか」だけ読んでみてください。特集ページの図を1枚開けば書いてあります。

※この記事の内容は2026年9月1日時点の公開情報によるものです。信託報酬・構成銘柄・比率・NISAの取扱いは変わります。
※構成銘柄と比率は、楽天投信投資顧問の特集ページ(2026年7月作成時点)によるものです。銘柄見直し時の比率であり、常にこの通りではありません。
※楽天・テック12は2026年9月25日設定のため、ファンドとしての運用実績はありません。指数の過去の推移は、現在のルールを過去に当てはめて算出したもので、将来の成果を示すものではありません。
※投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。この記事は特定の金融商品やサービスをすすめるものではありません。

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※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。リンクを経由してご利用いただいた場合、わたしに少額の報酬が入ることがあります。記事の内容はリンクの有無に関わらず、わたし自身の評価・意見に基づいています。

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