投資信託を複数のファンドに分けて積み立てている。オルカン(全世界株式)も持っている。だから、自分はそれなりに分散できているはず——。わたしはずっと、そう思っていた。
ところが先日、ドル円がひとつのきっかけになった。つい少し前まで1ドル162円だったのに、今週は159円台まで円高に振れた。そのニュースを見て、ふと引っかかった。わたしの積立って、そもそもドルがどれくらいを占めているんだろう。円高が進むと、中身の株価が同じでも評価額は目減りするはずだ。
気になって、自分が持っている4本のファンドを、商品名ではなく「通貨・国・業種」という3つの単位で洗い出してみた。結論から書くと、4本に分けていたのに、通貨で見れば約9割がドル、国で見れば約9割が米国、そして業種で見れば資産の約4割が半導体という、たった1つのジャンルだった。分けていたのは、商品の名前だけだったのだ。順番に書いていく。
(自分の中身を今すぐ確かめたい人は、楽天証券の保有商品ページから、各ファンドの月次レポートや構成比を開ける。まだ口座がなければ後半で改めて触れる)
「4本も持ってるから分散できてる」と思っていた
わたしが積み立てているのは、FANG+、SOX(半導体)、NASDAQ100、そしてオルカンの4本だ。1本に集中させるのが怖くて、少しずつ性格の違うものに分けてきた。とくにオルカンは「全世界株式」という名前だから、世界中に散らばっている安心感があった。4本も持っていれば大丈夫だろう、と。
この安心感が揺らいだのは、前に一度、エヌビディアのことを調べたときだった。個別株を1株も持っていないのに、指数を通じて自分の資産の約8%がエヌビディアだと知って、けっこう驚いた。詳しくはエヌビディアが欲しくなって調べたら、もう約4万円分持っていた話に書いたとおりだ。
そのときは「1つの会社」への集中の話だった。だから今回は、もっと大きい単位で見たらどうなるのかが気になった。会社単位で偏っているなら、通貨や国、業種という括りでも偏っているんじゃないか。たとえば「4本」と数えているものが、実は同じ方向を向いた4本だったとしたら、それは分散とは呼べない。そこを確かめたくなった。
「分散できてる」は、商品名じゃなく3つの単位で確かめる
そもそも「分散できているか」は、どうやって確かめればいいのか。ファンドの本数を数えても意味はない。同じような中身のものを何本持っても、それは分けたことにならないからだ。
そこで、商品名をいったん忘れて、3つの単位に置き換えて見ることにした。ひとつめは通貨。自分の資産が、何の通貨で持たれているか。ふたつめは国。どの国の企業に投資しているか。みっつめは業種(セクター)。どんなジャンルの会社に偏っているか。この3つで見ると、「FANG+」「オルカン」といった名前では見えなかった、自分の資産の本当の形が浮かんでくる。
やり方はシンプルだ。各ファンドの評価額に、そのファンドの中の「ドル比率」「米国比率」「業種比率」をかけて、4本ぶんを足し合わせる。それだけ。使った数字は、2026年7月18日時点のわたしの実際の評価額(合計478,767円)と、各指数の公表データだ。ひとつずつ見ていく。
【実測】積立4本を通貨・国・セクターで洗い出してみた
① 通貨で見たら、約9割がドルだった
まず通貨から。FANG+・SOX・NASDAQ100はどれも米国株が中心なので、ほぼ100%がドル建てだ。問題はオルカンで、これは「全世界」といっても中身の約64%が米国企業なので、ドルの比率もそれくらいになる。これを評価額で加重して合算すると、こうなった。
| ファンド | 評価額 | ドル比率 | ドル建て相当 |
| FANG+ | 231,071円 | 約100% | 約231,000円 |
| SOX(半導体) | 87,654円 | 約100% | 約87,700円 |
| NASDAQ100 | 51,541円 | 約100% | 約51,500円 |
| オルカン(全世界株式) | 108,501円 | 約64% | 約69,400円 |
| 合計 | 478,767円 | 約92% | 約439,700円 |
約48万円のうち、約44万円がドル建て。割合にして約92%だ。円やユーロなど、ドル以外は残りの1割にも満たない。冒頭で「円高だと評価額が目減りするのでは」と気にしていたけれど、その心配はまさに的中する構造になっていた。中身の9割がドルなら、株価が動かなくても為替だけで資産がまるごと揺れる。
⚠️ 「ドル建て」と「その会社の国」は別の話
ここでいうドル比率は「資産が何通貨で持たれているか」の話だ。たとえばSOXには台湾のTSMCやオランダのASMLも入っているが、ファンド自体はドルで取引される。つまり通貨としてはドルでも、企業の国籍で見れば少しだけ外に散っている。この2つは分けて考えたほうがいい。次の「国」の話につながる。
② 国で見たら、約9割が米国だった
次は国。企業の国籍で見るとどうか。米国テック3本はほぼ米国企業で、SOXだけが台湾・オランダを1割弱含む。そして全世界のはずのオルカンも、中身の63.6%は米国だ(2026年6月末時点、MSCI ACWIのデータ)。たとえば日本は約5%、イギリスは約3%しかない。これを合算すると、米国比率は約90%になった。
「全世界に分散」と思っていたオルカンを混ぜても、なお9割が米国。世界には47の国と地域があるのに、自分のお金のほとんどは、たった1つの国の景気とルールに乗っていたことになる。もしアメリカが不調な年があれば、4本まとめてその影響を受ける。分けたつもりの4本が、同じ1国に集中していた。
③ セクターで見たら、約4割が半導体だった
いちばん驚いたのが、この業種の話だ。情報技術と通信サービスを「テック系」とまとめて合算すると、資産の約78%になった。ここまでは、まあそうだろうと思っていた。問題はその先で、業種をさらに「半導体」というひとつのジャンルまで絞ってみたら、それだけで資産の約4割を占めていた。
理由は分解すると見えてくる。SOXはまるごと半導体だし、FANG+にもエヌビディア・ブロードコム・マイクロンといった半導体銘柄が入っている。NASDAQ100やオルカンの上位にも、同じ顔ぶれがいる。つまり4本のあちこちに、同じ半導体の会社が少しずつ散らばって入っていて、足し合わせると4割という塊になる。3軸をまとめると、こういう姿だ。
数字そのものより、「寄っている」という事実のほう
評価額も比率も毎日動くので、92%や38%という数字は明日には少し変わる。業種の内訳はざっくりした概算でもある。それでも、どの単位で見ても8〜9割が一方向に寄っている、という事実は動かない。大事なのは、小数点以下の正確さより「自分が思っていたより、ずっと一方向に偏っていた」と気づけることだ。
ここまで見て、「じゃあ自分の中身はどうなんだ」と気になった人へ。楽天証券なら、保有商品の画面から各ファンドの月次レポートや構成比を開いて、通貨・国・業種の内訳を確認できる。まだ口座がなければ、こういう中身を一目で見られる状態を作っておくだけでも違う。
分けていたのは、商品の名前だけだった
3軸を並べてみて、ようやく腑に落ちた。わたしは「FANG+」「SOX」「NASDAQ100」「オルカン」という4つの名前を持っていて、名前が違うから分けた気になっていた。でも通貨・国・業種という単位に置き換えると、どれもドル・米国・テックという同じ方向を向いていた。分けていたのは、商品の名前だけだったのだ。
もちろん、4本すべてが完全に同じ、というわけではない。オルカンだけは日本や新興国も含んでいて、通貨や国の面では本当の分散役を果たしている。ただ、それを混ぜてもなお9割が米国・ドルに寄る、というのが今回の結果だった。残りの3本の引っ張る力が、それだけ強いということでもある。
これが何を意味するか。上がるときも下がるときも、4本が同じ方向にそろって動きやすい、ということだ。分散の目的は、片方が下がってももう片方が支えてくれることにある。でも中身が同じ方向を向いていたら、いざというときに一緒に沈む。これは良い悪いではなく、「そうなっている」という事実として知っておいたほうがいい。
これは、わたしだけの特殊な話じゃない
ここまで読んで、「自分はFANG+やSOXなんて持っていないし、関係ないな」と思った人がいるかもしれない。でも、たぶん関係ある。あなたがオルカン1本、あるいはS&P500 1本だけを積み立てていたとしても、同じ穴の中にいる。
たとえばオルカンは、それ1本でも中身の6割が米国・ドルだ。S&P500にいたっては、当然ながらほぼ100%が米国企業で、通貨もドル、しかも上位は大型テックが占める。つまり王道のインデックスを1本持っているだけでも、通貨・国・業種で見れば、あなたの資産はかなり一方向に寄っているはずなのだ。わたしのように4本に分けていても、1本に絞っていても、行き着く形はよく似ている。
これは、日本で積立をしている人の多数派に当てはまる話だと思う。自分では偏らせたつもりがなくても、時価総額の大きい会社を自動で多く買う仕組みのインデックスを選んだ時点で、いちばん元気な国・通貨・業種に自然と寄っていく。あなたの積立は、どんな形をしているだろうか。
じゃあ、この集中は「悪いこと」なのか
ここまで「偏っている」と繰り返してきたけれど、では集中は悪いことなのか。わたしはそうは思っていない。むしろ、ドル・米国・テックに寄っていたからこそ、ここ数年でわたしの資産はここまで増えた。いちばん強かったところに、結果的に多く乗っていたわけだ。集中は、増えるときの原動力でもある。
ただし、逆もある。円高・米国株安・テック株安が重なると、支えてくれる別の柱がないので、4本まとめて同じ方向に下がる。まさに今週、ドル円は162円台から159円台へと円高に振れた。中身の9割がドルなら、たとえ株価がそのままでも、この為替の動きだけで評価額はじわりと減る。集中は、こういう局面で牙をむく。
だからといって、あわてて配分を組み替えるべきだとは思っていない。これはわたし個人の受け止め方だけれど、まずやるべきは「自分がどれだけ偏っているかを知っておく」ことだ。知らずに全部そろって下がると、なぜこんなに減るんだと動揺する。でも「自分はドルと米国テックに9割乗っている」と分かっていれば、同じ下げでも受け止め方が変わる。仕組みを変えるかどうかは、そのあとの話でいい。
自分の本当の形は、通貨・国・業種で見えてくる
今回わかったことを、まとめておく。
この記事のまとめ
- ファンドの本数を数えても、分散できているかは分からない
- 4本に分けても、通貨は約92%がドル、国は約90%が米国、業種は約4割が半導体だった
- オルカン1本、S&P500 1本の人も、通貨・国・業種で見れば同じように偏っている
- 集中は良い悪いではなく「知っておく」もの。知っていれば全部そろって下がる日も慌てない
商品名で見ていると、「4本も持っているから大丈夫」と安心してしまう。でも通貨・国・業種という単位に置き換えると、名前では見えなかった自分の本当の形が現れる。わたしの場合、それはドルと米国テックに大きく寄った形だった。良いも悪いもなく、それが今の自分の姿だと知れたことが収穫だった。
派手なニュースが出た日ほど、つい個別株や新しいファンドに手を伸ばしたくなる。でもその前に、自分がすでに何をどれだけ、どんな形で持っているかを見る。今回わたしがやったのは、ただそれだけだ。あなたの積立も、通貨・国・業種で一度洗い出してみてほしい。楽天証券なら保有画面から各ファンドの月次レポートや構成比を確認できるし、まだ口座がないなら、自分の持ち物を一目で見られる状態を作るのが最初の一歩になる。
なお、「1つの会社」への集中がどれくらいあるのかはエヌビディアが欲しくなって調べたら、もう約4万円分持っていた話に、「じゃあ守りをどう足すか」を考え始めた人にはオルカンをスポット購入して配分を見直した話が参考になると思う。あわせて読んでみてほしい。
参考・出典
- MSCI ACWI(オルカン)指数ファクトシート(MSCI)
- iShares Semiconductor ETF(SOXX)ファクトシート(iShares)
- Invesco QQQ(NASDAQ100)業種別構成(Invesco)
- iFreeNEXT FANG+インデックス 構成銘柄(大和アセットマネジメント)
- NASDAQ100(QQQ)構成銘柄(stockanalysis.com)
※通貨・国・業種の比率は、各指数の公表データをもとにした概算です。評価額・構成比は日々変動するため、記事中の数値は2026年7月18日時点のものです。※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。リンクを経由して口座開設いただいた場合、わたしに少額の報酬が入ることがあります。記事の内容はリンクの有無に関わらず、わたし自身の評価・意見に基づいています。また、本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。

コメント